鉄道はバスよりも3倍省エネで、自家用車と比べるとそれは10倍にもなります。しかも、それはあくまでも定員乗車の場合で、通勤時に電車が定員の2倍の乗客を乗せて走るのに、通勤利用の自家用車はドライバー一人しか乗っていませんから、その差はさらに拡がることになります。
しかしながら、鉄道は優れて省エネな交通機関であるのに、過疎化が進む地方ではもちろんのこと、都市部でも乗降客は減少傾向にあります。これは、高速道路網の発達が原因です。高速道路はトラック輸送の発達を促して一部の産業の発展に寄与しましたが、同時に鉄道貨物輸送の衰退の原因にもなりました。鉄道が旧態依然として迅速性に欠けたヤード式貨物輸送にこだわって、小回りの利くトラックに対抗するためのコンテナ輸送やピギーバック輸送の導入が遅れたことも決め手になりました。
鉄道輸送の方が省エネであることが分かっているのに、政治と自動車業界・建設業界との癒着によって、高速道路重視の政策が採られたのは残念でした。しかも「国土の均衡ある発展」という、地方それぞれの事情を無視したスローガンの下で高速道路網が拡充されたことにより、富を得たのは土建業界と大都市圏だけで、地方は高速道路がストローになって富を都心に吸い上げられただけでした。このように、過去の国の運輸政策は、見た目は効率が良いのですが、省エネに背を向けるばかりか地方経済をも破壊してしまうものでしかありませんでした。