一口に「鉄道は省エネである」と言いましても、詳細に見ますとその省エネ度は車両の種別で大きく異なります。旅客列車で考えますと、最も省エネ度が高いのは機関車が牽引する客車列車です。
その理由は、機関車では動輪の回転力がレールに伝わりやすいからです。機関車は車体が重く、動輪の軸重も大きくなりますので、動輪がレールを押さえつける力が大きくなります。列車が走行する力は、動輪とレールの間の摩擦力(粘着力・トラクション)によって得られますが、この摩擦力は、動輪の軸重が重い程大きくなります。従いまして、電車や気動車のような動力が分散した列車よりも、機関車牽引列車のような、動力が集中した列車の方が、走行に必要なエネルギーが少なくて済むということです。
それならばどうして、地下鉄や大手私鉄の列車は機関車を使わないのでしょうか。
それは、機関車牽引の列車は、加速・減速性能が電車に比べて劣るからです。電車や気動車のような動力分散型列車では、動輪が多いので加速性能が高くなります。また、電車では電動車(モハ・クモハ)の主電動機を回転させてブレーキ力を得る電力回生ブレーキや発電ブレーキを複数の車両で分担できますので、減速度も高くできます。
ところが、客車列車では回生(発電)ブレーキが使えるのは機関車だけですから、客車では別に減速度の劣る空気ブレーキを使う必要があります。そのため、得られる回生電力は電車に比べて少なくなり、減速時の省エネ性能は電車に劣ります。さらに、客車列車は10両編成以上(電気機関車の場合)の列車でないと、省エネになりません。
こうした理由で、高密度運転が必要な地下鉄などでは、電車を使わざるを得ないのです。